357-15 スズシロ

■「いらっしゃーい。何にする?いつも通り? あっ、こないだいいお出汁が入ったんだ。和食にしよっか!」

■スズシロ・ミヤツカサ(宮司清白)
シエルブリーク357番編成に2両連結される食堂車の一人、RP616 41号の心。あだなは『スズさん』。
三等座席車CP532 896号として生まれ、時空警備を司る『海上公安隊』の軍港を抱える町・ミヤツカサの管理局に配備。同局の所管する急行で活躍した。その後、ミヤツカサ局内で旧式客車を対象に食堂車への転生募集がかけられた際に一番に志願し、現在の車体を得た。

10年前の異動でシエルブリークへ転籍。以来ずっと357番編成の三等車側で食堂車として活躍している。転生前から料理好きのおてんば娘で、現在も持ち前の明るさを生かして乗客と深く交流しながら料理をふるまっている。


食堂車としての彼女はお客から『清白軒』と呼ばれ親しまれている。
軍港の町というだけあって、一番の得意料理は肉じゃがやカレーなど海軍ゆかりの料理が多いが、苦手な料理はなく和洋中何でも作って見せる。
RP616形はもともと本格的な調理設備を持たない『軽食堂車』いわゆるビュフェ車の一形式だが、スズシロがこの車体を選んだのは『お客さんと明るく会話しながら料理をふるまいたい』から。
設備はコンロやオーブン等本格的な食堂車とほぼ同等の設備を特注で揃えたほか、空間拡張の魔術を利用して本来はない屋根裏部屋を設置。ここにパン窯等を置いて自家製のパンや燻製・漬物などを作っている。

機械の心も社員として認定されるRSCRでは心にも日本円換算20万円程度の月給が支払われているが、彼女はその給料のほとんどを自車でふるまう料理の食材や調理器具に使い込んでいる。料理は仕事にして趣味にようなもので、彼女にとってはそれが満足。
運用中はほとんど休みなくキッチンに立ち、お客のために腕を振るう。

357-15 スズシロ実車

■RP616形
全長:20m
全幅:2.9m
全高:3.9m

RSCR中型客車のベストセラーとして一部地域で現在も増備が続く10系の一形式。車体中央にカウンタータイプの簡易キッチンを備え、おもに軽食を提供することを前提とした軽食堂車(ビュフェ)である。
もとは地球世界・日本国有鉄道で廃車されたオシ16形がRSCRに転入したのが始まりで、大きな活躍をできずに終わった元世界での悲運とは裏腹に、様々な形態で営業運転している。

スズシロのように旧型客車を台枠利用で転生させたグループが中心だが、完全新造車も在籍する。


上述の通り、スズさんは国鉄10系の食堂車の一形式、オシ16形に相当する車両です。
主に寝台急行「彗星」などに連結され、ベットの設営中に行き場がなくなる乗客のために用意された「サロンカー」という立ち位置で登場しました。
発想こそ斬新な軽食堂(ビュフェ)客車でしたが、その用途上営業時間は長くなく、それ故効率もいまいち。
そんなわけで、せっかく転生したはいいものの国鉄での活躍は長続きしなかった悲運の形式です。

リオストではカウンタータイプの内装を生かし、心自身の創意工夫で千差万別の活用ぶりを見せています。
たとえば、正規の食堂車の隣に連結して喫茶車としたり、夜間を中心にバーとして営業したり。
お昼は喫茶でゆったり。夜は軽く一杯飲んでから食堂でお食事…といった使い分けも楽しめます。

食堂車の心が自車の内装や味をプロデュースすることがほとんど通例になっているリオストの食堂車たちの間では、オシ16のはアレンジによって他にない食堂車になれるということでなかなか受けている様子です。

そして、乗客はそれらのサービスをすべて運賃の範囲内で受けられるわけです。
食堂車目当てで連界鉄道を追う世渡人もいるのだとか。